2005年08月17日

河原にできた中世の町

kawarani.jpg
近所の本屋で、歴史のコーナーをなんとなく眺めていたら、一番上の段の一番端にこの絵本が、本当に埃をかぶって置いてあった。最近の回転が早いばかりの本屋ではめったに見られない古びた本。まるで古本。歴史書のコーナーに絵本があるということ、それがずいぶん長い間しぶとく置かれているということが、なんとなく気になり、開いてみた。

そして衝撃。

まず目に飛び込んでくる絵がすごい。適当な感嘆の言葉としての「すごい」じゃなくて、本当に「凄い」。凄みがある。絵本なのにまるで絵巻物。一気に時空を超えてどこかへ連れて行かれてしまうような、そんな絵。<鎌倉時代の道>というページなんて、もう、「道」の本質を描いてしまったような、自分がその道を一人歩いて旅しているような、そんなトリップ感。

さらに文章がまたとんでもない。

荒涼たる原野,そのまっただなかを通る道も,やはりあの世とこの世の境でした。そこを旅する人はおのずと境に生きる人になりました。

うわー!

要は中世日本に都市が成立する過程を描いた歴史絵本なんだけれども、その描き方が尋常じゃない。なんだこれー!と即買い。レジに行く途中、作者を見ると、網野善彦文 司修絵とあって、ちょっと納得したような気分になったけど、こんな絵本シリーズが出ていたんだなあ。他の巻はどんな本なのだろう。
と思ったら、
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/11/2/110644=.html
シリーズ中この巻だけが品切重版未定。もったいない…
っていうか見つけてよかった…

Posted by jiro at 2005年08月17日 18:54 | トラックバック (0)
コメント

これ僕も前に読みました。
卒論書いてたころのような気がしますから,15年以上前だな。
網野の『無縁・苦界・楽』なんかとセットで熱狂しつつ読んだ記憶があります。
うちでちょっと探したけど見つからないや。

Posted by: もとえ at 2005年08月24日 01:15

ググってみると、いくつか熱烈に褒めているページがヒットしますね。なんか賞ももらってるみたいで、やっぱりこれは当時もずいぶん話題になったんでしょうか。奥付は1988年です。

Posted by: もとなが at 2005年08月24日 03:51

おー、これ面白そうですねー。ぜひ今度見せてください。こういうのを絵本としてつくろうとする大人(というか、網野さんとかの)の心境ってどんなだったんでしょうね。1)自分の子供の時はこういうの好きだったから、今の子供もわかるだろう、か2)絵本という体裁だけど、対象は大人だよ、か。なんとなく無邪気に1)のノリでつくってそうですが・・・しかし、その割には文章がハイブロウすぎるか。

Posted by: hri at 2005年08月24日 10:50

じゃあこれも次の地図ナイトで(笑)。
著者対談みたいな、別刷りの紙を二つ折りにしたものが挟まっていて、そこに絵本ができるまでの経緯が書いてあります。
あと、こんなのを見つけました。
http://www.tsukunavi.com/study/kaisha/04/3-1.html

Posted by: もとなが at 2005年08月24日 12:56

絵本ぜひ見てみたいです。いい話ですね。8年がかりの作品ですか、、、。
次の地図ナイトは参加しなきゃ。

Posted by: naka at 2005年08月24日 14:05
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